皆さんは自宅で普段使っているピアノのコンディションにはどのくらい気を遣っているでしょうか?

録音方法については別の記事でいろいろ紹介していますが、良い録音をするためには、そもそもピアノが良い音を出す状態になっていなければいけません。

どんなに良い機材を使って良い音質で録音しても、そもそもピアノが良い音を出せる状態でなければ良い録音はできません。

自宅のピアノでコンクールやオーディションに提出する演奏を収録する事も想定して、普段から気を付けていきたい事、録音の前にやっておきたい事をお話ししようと思います。

気温・湿度による影響について

今年(2022年)の梅雨明けはだいぶ早く宣言されましたが、最近また雨も多く、ジメジメした暑い日が続いています。

こんなに気温・湿度の高い状態の中で、何も気にしないでピアノを置いておくのはやめてください。

ピアノは主に木とフェルト、金属等でできています。

木やフェルトは湿度が高いと膨らんだりします。これによりピアノのアクション部分に悪影響が出て、動きが悪くなってしまいます。

逆に乾燥しすぎても木が痩せてしまい、最悪の場合は割れてしまう事もあります。

金属部分(弦を含む)は湿度が高い状態に置いておくと錆びやすくなります。また温度変化により伸縮します。

悪い環境の中にピアノを置いておくと、調律しても音がすぐ狂ってしまいますし、ピアノの寿命も短くなります。

ぜひ温度・湿度を適切に管理するように心がけてください。

温度・湿度管理の方法

理想は一年を通してできるだけ変化の少ない状態を保つ事です。

とは言うものの、日本は季節により気温・湿度が大きく変わってしまいますのでなかなか難しいと思います。

まずは正確な温度・湿度の把握ができるよう、温湿度計をピアノのそばに置く事から始めましょう。

気温はエアコンである程度管理できますが、ピアノに直接風が当たらないようにしてください。

湿度は加湿器・除湿器を用意して管理しましょう。こちらもピアノに直接風が当たらないようにします。

加湿器にもいろいろ種類がありますが、スチームタイプの加湿器なんかは結露に繋がる場合もありますので、加湿器を選ぶ場合は気化式またはハイブリッド式にしましょう。

除湿器は強弱やタイマーが付いているだけのものでは乾燥しすぎてしまう場合がありますので、かならず湿度設定ができるものを用意しましょう。設定湿度になったら自動で止まり、設定湿度より湿度が高くなったら除湿運転を再開してくれるタイプが良いと思います。

ピアノのコンディションを保つために最適な気温は15~25℃、湿度は50%前後と言われていますので、それを目安に設定しておきましょう。

普段録音・撮影を手伝っているピアノホールFでは、湿度の高い時は除湿器、乾燥している時は加湿器が常に稼働しています。

調律について

みなさんはピアノの調律はどのタイミングでしていますか?

年に数回定期的に行っている方もいれば、音が狂ってきた、またはピアノの反応が悪くなってきたと気になってきたタイミングで行っている方もいると思います。

ピアノのコンディションは気温・湿度による変化が大きいので、季節の変わり目には調律しておくと良い状態を保つ事ができます。

そして、コンクールやオーディションに提出する演奏を収録する場合は、ぜひ直前に調律をお願いしましょう。

できれば調律した時の温度・湿度を保った状態で演奏の収録に入れるとベストです。

先ほども触れましたが、気温や湿度が変化するとすぐにピアノのコンディションは変わってしまいます。

例えば、寒い冬に室温が低い時に調律した場合、その後エアコンが効いてきて室温が上がったら、調律直後であっても音は狂ってしまいます。また、急激な温度変化はピアノにダメージも与えてしまい、ピアノの寿命も短くなってしまいます。

したがって、ベストなコンディションで演奏を収録するのであれば、直前に調律をするのがベストになります。

どうしても調律師さんの都合があわず、調律から収録の日程が空いてしまう場合は、最低限調律時の気温・湿度と収録時の気温・湿度は合わせるようにしましょう。そうすれば、その間に多少の気温・湿度の変化があったとしても、ある程度は調律時の音に戻ってくれるようです。

スタジオやホールを借りてピアノ演奏を収録する場合

一般的な貸しスタジオやホールでは、ピアノの調律はお願いできるようになっていると思います。だいたい普段からお付き合いのある調律師さんが居るはずです。

ピアノホールFでは、いつも名古屋ピアノ調律センターに調律をお願いしています。

せっかく良い響きの場所で良いピアノを使って演奏を収録するのであれば、ピアノのコンディションも最良の状態にしておきたいですよね。

しかし、調律もそれなりに費用がかかってしまいますので、なかなか気軽に頼みにくいかもしれません。

そういった場合は、事前に会場側に直近の調律の予定なんかを問い合わせてみるのもいいかもしれません。(ピアノホールFでは答えてくれます)

まとめ

ここまでピアノの演奏収録の前に気を付けたいピアノのコンディションについてお話してきました。

要約すると「普段から気温・湿度を最適な状態で保っておくこと」「収録前に調律をすること」になるのですが、私の体感としては「わかっていてもできていない」人が多いなと感じています。

良い演奏を収録するためには必要な事ですので、まずは可能な範囲でできることをやっていきましょう。


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